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師走。 師匠、転びますよ!
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微妙なところである。
扇風機が全力で回ってる様を見て何かそれはまた微妙な気がするのは一体なんだろうかね。


今、ホーマック的なところで花を見ていた。
彼女は紅く朱く美しく。な花があったんだが、何ってネーミングが逸脱。

『 灼 熱 の 女 王 』

うっかり購入して専用のプランタにでも植えて、跪こうかと思っちゃったよ。
たまーに凄い名前あるんだよねぇ。楽しい。



さてさて。
前回は桃夜君を可愛く、魅力を書き表せなかったのでリベンジ!
でも駄目だ、何って文才がない。

朶汰殿にもご挨拶申し上げねばと思いつつも、チキンは前に進めず。
どうかお許し願いたい。


今回は、桃夜君と春之丞。
先に謝罪。ごめんなさい。やっぱり物騒な感じでごめんなさい。
ではお付き合い願います。



鈍い音がして、煙草を補充に外に出ていた春之丞は歩みを止めた。
あまり良い事ではないが、聞き慣れた音。
それに耳を傾けながら、慣れた石の階段を昇る。
昇り切ったそこにあるのは、寂れた小さな公園。この時間帯は滅多に人がいないのだが。
…喧嘩、か。
学生だろうか、まだ若い数人の男。単数相手に四人というまた卑怯なものだが、しかしその一人の方がやたらと良い動きをしていた。
身の熟し軽く、相手の攻撃を上手く活かしている。
長身だが懐に入られることもない。そして動く度に揺れる、光を受けた銀髪。


見覚えがあった。
「……雛月、」
低く小さなその声にぴくりと反応したが、まだ向かってくる拳を片手で受け止め殴り返す。
しっかりと入ったそれが、禿げた芝の上に落ちる。
それを確認してから、彼は春之丞に振り向いた。
「春之丞さん…?」
何と無く互いに見つめ合う。
どうやら紅葉のいう桃君、つまり桃夜で合っていたらしい。
近付いて、それから気付いたように桃夜は袖に付いた埃を掃う。
「恥ずかしいところをお見せしました。」
そういう桃夜は本当に礼儀正しい、春之丞の感心する所だ。
「…いや。良い動きだった。」
素直に褒めてみると、桃夜は驚きに目を見開いた。
まさかこの黒づくめからそんな言葉が出るとは思わなかったらしい。
「あ、いや。そんなことは、…っ!」
どうもまだ動けたらしい一人が、不意打ちで飛び掛かってくる。
酷く珍妙な奇声を上げて。

「あ、」
それに対して、反射的につい春之丞は足を上げてしまった。
右足で綺麗に腹を蹴り飛ばす。
「春之丞、さん。今の…。」
「…悪い。」
一応、手加減、否。足加減はした。
左足で無かっただけ、何百倍もマシだろう。
「迷惑掛けて済みません。…でも、良い蹴りでした。」
何やら似たような言葉でそう言われると、不思議な感覚がして堪らない。


二人の間には沈黙。
元々寡黙らしい桃夜と、完璧に愛想なし無口の春之丞。
お互いに触れてはいけない気もして質問もしづらくて、多分お互いに困っていた。
ただ、やっと春之丞が見つけたもの。
桃夜の右手の甲に赤く走った線だった。
「手。」
「え?あ…、引っ掛けたんですね。」
あ、この釦か、と鞄についた飾り釦を見つけた。
手より取れかけているそれを見つめる桃夜に、春之丞は来い、と一言呟く。
桃夜が不思議そうに顔を上げると、さらりと銀髪が落ちる。
何とは無しに春之丞はその銀を掬い上げ、ぐりぐりと混ぜた。
逃げるでも慌てるでもなく、桃夜は戸惑ったように硬直して同じ学生でもやはり全く違う反応だな、なんて感想を持った。



「消毒と、ついでに釦。」
「え、でも悪いですから…。」
「構わん。…勝手に蹴りを入れた詫びだ。」

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