師走。
師匠、転びますよ!
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お昼寝の前に、柘榴君と春之丞と飛鳥のやつです。
しかも第一弾という無茶苦茶(←
だってやたら長くなったんだよ。
しかも柘榴君を可愛く書けなくて泣きたいよ…。
因みに飛鳥がいるのはアレです、話が続かないからです。
小麦粉と卵の役割(笑)です。
夜も更けてきた頃、柘榴は珍しく一人で飛鳥のもとへ訪れていた。
晩い時間の酒であるため、というのも理由だが、主に本人の前ですると嫌がられる"可愛い弟の紅葉が如何に可愛いか"談をしに、である。
どうもこの手の話は紅葉自身や他人には嫌がられるようで、嫌がらず寧ろ乗るのは飛鳥くらいなのだ。
まぁ、俺としてはイヤイヤする紅葉も可愛いし、わかんねぇ奴は敵にもカウントしないからいいけどな。
しかし、そいつらは人生損してる、などと柘榴は思う。
「飛鳥さん、それでっすね。この前なんか紅葉の奴、可愛いのなんのって。」
「ほう。それは興味深いね?」
酒も入っている分、柘榴は機嫌よく話す。飛鳥はブロックアイスを足しながら微笑む。
飛鳥は飛鳥で、こうやって紅葉君の話をする柘榴君も本当に可愛いな、なんて思っている。
言われた方は大概NOと言うが、飛鳥の可愛いは大体一般以上の可愛いを捉えていた。
それでいえば、夜長兄弟は二人して可愛いことになるだろう。あくまで本人達には否定されてしまうのだが。
それに水を差したのは、携帯のコール音。
柘榴のものだ。
「すんません、ちょっと大丈夫っすか?」
「ああ、構わないよ。」
ごゆっくり、そう言ってから飛鳥はそう言えばこの前も同じことをしたなと肩を震わせた。
流石は兄弟。反応が同じだ。そして、一言断る礼儀正しさも。
電話に出る柘榴に目を細めていると、からん、とドアが開く。
ドアベルを極力鳴らさないようにする癖は、春之丞くらいしかいない。
「お帰り…。」
柘榴を気遣い声を潜め、飛鳥は口元に指を立てた。
大体は静かでない訳もないが、静かにしなさいね、という合図に春之丞は頷いた。
カウンター席の一番端に腰掛け、ウィスキーと指先で酒を指定する。
飛鳥も音も立てずにウィスキーボトルやらグラスを用意し始める。
それを一瞥して春之丞は片手で陶器の灰皿を引き寄せた。
ダークスーツの胸ポケットから煙草を取り出し銜え、行儀悪くカウンターの内側に手を伸ばしてライターを取る。
深く肺に回し息を吐くと、やっと右から聞こえてくる声。
「な、本当かよ…。ああ、解った。明日…な。」
おやすみ、と言って柘榴は通話を終了させた。
「柘榴君、大丈夫かい?」
そっと飛鳥が問うて、柘榴の額に触れた。
冷、てぇ…。
ふと、落ち着いた気がして、スツールに座り直す。
「あ、大丈夫っす。何か、その…ハヤブサってのが潰されたって連絡が入って。」
ハヤブサといえば、最近幅をきかせている噂も頗る悪い不良集団だ。
うちの蓮華は大丈夫だと思いますけど。
呟いた柘榴を見て、飛鳥は紫煙を燻らす春之丞を見遣った。
「ハヤブサ、…聞き覚えは?」
「…あー…………、連絡は入っていたな。」
ぼんやりと答えると、柘榴が不思議そうに見つめた。
その目はやはり紅葉によく似ている。
「飛鳥さん、…誰?」
急に話を振った先にいたのは、黒づくめの男。
あまりに怪し過ぎるそれに、飛鳥は友人のように普通に声を掛けるのだ。
「ん、ああ。柘榴君は会ったことなかったか。…紅葉君が言ってなかったかい?」
春之丞、だよ。
そういえば、言っていたかも知れない。
背の高い無口だけど、頭を撫でてくれるような、そんなひと。
「あ…、俺、紅葉の兄で柘榴。いつも弟がお世話になってるみたいっすね。」
些か警戒しているかも知れないが、仕方もない。
「…ああ、冷泉院春之丞だ。宜しく。」
世話などしてない、と短く否定した。実際余計な世話をしているのは飛鳥だ、と本人に視線を送った。
「不良というより、ヤクザの風体じゃねえっすか。」
「……目の覚める深緋だな。」
お互いに、何とも言えない感覚で。
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