師走。
師匠、転びますよ!
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と、いう訳で。
クロちゃんが無事見つかって良かったです。
ひそかに心配しておりました。
まあ携帯といえばよく失踪しますからね。
春之丞なんて、頻繁に俺の前から消えます。
今使ってる奴なんだから、他ので呼べばいいじゃん。
と、冷静な時は思うけれど、いなくなって探している時は取り敢えず「おーい、春之丞ー、はるー。」とかって呼び掛けてみたり。
返事するわきゃないんだけどね。
紅葉君との妄想も、やたら長くなりつつ来るべき日に温めてたりします。
でもここまで書いて思った。
普通なら、胡散臭い飛鳥とか黒づくめの春之丞とじゃなくて、素敵な恋人と過ごすじゃん。て。
まあ妄想だからアレなんだけど、日記様とか読むとうーん。
神田くらい空気読んでないかな…。
……ま、いっか(ちょ
んでは妄想。
クロちゃんお帰りなさい記念(しつこいな
楽しげに飛鳥が笑う。
それは行方不明だったというクロの帰りと、静かにけれど確かに嬉しげなヨミを見てのものだ。
落としたとはいえ煙草を奪われた春之丞は大きく溜息を吐いてまたケースから一本取り出す。
銜えたそれに黒いライターで火を点ける。
「…ああ、」
それでやっと思い出した、と春之丞が声を上げる。
騒音の中だと簡単に消えてしまう声は、小さな子供が泣いてしまうそうな程低い。
「ん、どした、春之丞?」
気付いたクロが見遣る。
同じ感情を持って、ヨミも春之丞を見た。
双子のような顔の作りで同じ方向に小首を傾げている。
普通の男ならば、美女二人に見つめられたらどぎまぎだのするのだろうが、基本的に春之丞はそれから漏れていた。
よく似ている、くらいの思いで黒い眼が二人を見返す。
「本、有ったぞ。」
辛うじて主語はあるが、呼び掛けはない。
わざわざこのタイミングで飛鳥に言う訳がない、ということはクロかヨミどちらかだ。
心あたりなら、互いにあった。
「どっち?」
アイス珈琲のグラスを置いて、ヨミが尋ねる。
両方、と短く答える春之丞に、三人は視線を合わせて笑った。
「……取ってくる。」
無表情にそれだけ言って立ち上がると、カウンターの奥へと向かう。
「あ、手伝う。」
そんな背中に呼び掛けて、ヨミも立ち上がり追う。
結われたディープブルーの髪がさらりと揺れる。
雪消、いじめちゃ駄目だよ。なんて人聞きの悪い飛鳥の声を春之丞は綺麗に無視した。
「あー、もしかして笑ったから怒っちゃったか?」
氷とブラック珈琲の間に溶けた水が膜を張る。
「ただの照れ隠しだよ、怒っているとしたら自分の言語機能かな。」
飛鳥の言葉にクロはほんとに解りづらいなと冗談混じりに言う。
よく生きて来れたな、冗談ではなく本気の声で飛鳥が笑う。
「マスター、酷いよな。」
「そうかい?…あ、言い忘れていたね。」
作業していた手を止めて、飛鳥はクロを見つめる。
「お帰り、クロ君。」
見上げたクロにやたら優しく飛鳥が微笑んだ。
それから暫くして。
本を取りに行っていたヨミが、いくつか抱えて戻ってきた。
「ヨミ君、お疲れ様。」
「お、読みごたえありそうだな。…って、ヨミ?」
どこかぼんやりしているヨミをクロは不思議に思って呼ぶ。
顔の前で手をひらひらと動かして。
「え?うん、何?」
その表情は、ぼんやりと言うよりは不可解なものを前にした、そんなものだった。
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