師走。
師匠、転びますよ!
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ちょうどD灰の8巻真ん中読んでたからこのタイトル。
昨日の無題についてはびっくりだ。
また書くことないぞよ。
あー、羊数えるののオヤジver.がやたらエロくてまずかったことくらいか(笑)
んじゃ久しぶりに携帯擬人化ネタいこう。
もはや擬人化ってかなんてーかだけどな(笑)
菜戸殿~、ザキ君お借りしてます。
なんかやっぱりBLっぽい(笑)
うっすらと雲がかった空には、隠れるような月。
それを見ているのかいないのか、春之丞は桟に腰掛け、ひとりグラスを傾けていた。
盆の上に肴はなく、バーボンのボトルだけ、風に撫でられ闇に溶けた木々が音を立てる。
「はるるー」
それを掻き消したのは、楽しげな響きを持ったザキの声だった。
まるで子どもやらの小動物を呼ぶように春之丞を探している。
だが、誰に似たのか面倒臭がりで声量を上げるということをしない春之丞が返事をする訳がない。
すぐ近くで聞こえたのだ、そのうち辿り着くだろうとバーボンを呷った瞬間、大きな音を立てて戸が開いた。
「はぁ~るぅ~。返事くらいしろっ」
恨めしそうな声でザキが春之丞を睨む。春之丞には睨まれているという意識は全くないが。
「…、御苦労さん」
ずずいと近づいてきたザキを労ってみる。
そうすると全くもう、とでもいうようにわざとらしくむくれてみせた。
「可愛くねーな。…で。何してたんだ?」
「………酒を呑んでいるだけ?」
さて何故疑問系なのか。答えつつグラスの中身を飲み干す。
ザキはそれを引き寄せた座椅子に座りながら見届け、すいと手にしていた硝子皿を春之丞の前に突き出した。
皿に乗っているのはピーナツチョコ。
何だと視線だけで問えば、ザキの眠たそうな眼が楽しげに笑う。
飛鳥からのさし入れ~とチョコを一つ摘みあげて口に放り込んだ。
「…、そうか」
頷いて、春之丞は皿に手を伸ばした。ザキ的にいえば人生損してそうな顔は、酒を入れても変わらないらしい。
いつもの難しい表情のまま、チョコを口に投げ込む。それを見て、ザキは不思議そうな顔を見せた。
「…何だ」
「なんかさ、はるっちって甘いモンいかにも苦手そうな顔してねぇ?酒とは一緒にしないとか」
問うザキに、春之丞はバーボンを注ぎ足してから答えた。
「……そうか?焼酎にかりんとうは美味だが」
つらと出た春之丞の声に、ザキはきっと何言ってもこの調子で返されるんだろーな、と苦笑した。
くぁあ、と大きな欠伸を一つ。眠たい、と呻き出した頭の中に、ザキは逆らうのも面倒でそのままにした。
未だ酒を呷る春之丞を見上げて、提案してみる。
「な、春。泊まってってもいいか?」
そう言われて、春之丞は一瞬考えるふりをしてから好きにしろと答える。聞き取りづらい低い音で。
「んじゃ決定。あー…、あと羊も数えてくれりゃ最高だけど」
なーぁんて。
普段から眠たそうな声に欠伸混じりで冗談を言ってみた。誰でも笑って流しそうな冗談を。
「…、構わんが、代価に何をされても文句を言うなよ」
「何って、なに…?」
人でも殺してきたような、そんな笑みで囁かれた言葉に、ザキの眠気は闇に溶けていった。
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